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「ノルウェイの森」上下 村上春樹 [NO BOOK NO LIFE !]

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/09/15
  • メディア: 文庫
    ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

    ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

    • 作者: 村上 春樹
    • 出版社/メーカー: 講談社
    • 発売日: 2004/09/15
    • メディア: 文庫




    「え〜、なんで今更〜!?」という声が聞こえるようです。はい、わたしもそう思います。
    20年位前「ノルウェイの森」の発売当初、学生時代にアルバイトしていた本屋さんで、在庫がなくなり、駅向こうの別の本屋さんへ買いに行かされた覚えがあります。爆発的な人気、ブームと言っていい感じの空気、猫もしゃくしも「村上春樹[ハートたち(複数ハート)]」というのが、引いたのかもしれないです。なんせ私はミーハーなくせにあまのじゃくという自分でも自分がコントロール出来ない厄介な人間なんです。そんなわけで、気になりつつも食わず嫌いで現在に至ってしまったわけなのです。
    でも、イタリア留学前に友人から「ヨーロッパに生活する日本人の気持ちがきっと共感出来るよ」と「遠い太鼓」というエッセイをもらって読みました。言われた通り、共感出来ましたよ。面白かったですよ。それでも小説には行かなかった。何故なのか? 多分、完全にきっかけを失ってしまっただけだと思います。

    遠い太鼓

    遠い太鼓

    • 作者: 村上 春樹
    • 出版社/メーカー: 講談社
    • 発売日: 1990/06
    • メディア: 単行本





    今年、村上春樹の小説が再びブームになっている、まるで二十年前のように・・・

    で、思い出したのです。取りこぼしたベストセラー小説を。
    「1Q84」を読んでみようと思ったのですが、この人の代表作を読まないでいきなりコレに行くのは失礼な気がして・・・。そこに会社で一緒の女の子が最近読んだというので、それは是非貸してくれ!とお願いして、20年越しの気になる小説「ノルウェイの森」にやっと出会える事となりました。

    1Q84 BOOK 1

    1Q84 BOOK 1

    • 作者: 村上 春樹
    • 出版社/メーカー: 新潮社
    • 発売日: 2009/05/29
    • メディア: ハードカバー
      1Q84 BOOK 2

      1Q84 BOOK 2

      • 作者: 村上 春樹
      • 出版社/メーカー: 新潮社
      • 発売日: 2009/05/29
      • メディア: ハードカバー






      ↓↓↓ここからは注意!ネタばれ有りです!(でももう皆読んで知ってるよね)

      喪失と再生の青春小説。例のあれだ、わたしの好きな「青春の苦悩と旅立ち」ってやつです。この手はもう無条件でまいっちゃうんです。きゅ〜んっと来ちゃうだな〜。
      だから面白かったです。わりと好きですよ。

      この小説を今この年で読んでよかったなと思います。
      ほぼ主人公と年齢の感覚が重なります。過去を振り返っている僕は37歳、思い出の中の僕は20歳。
      二十歳の頃に読んでいたら、どんな感じだったろうと思います。うまいし読ませる小説なので十分楽しめたと思うけど、20歳の頃を振り返る自分というものと重ねる事は出来なかったと思うからです。

      この小説の描かれている舞台は日本で、でも村上春樹が持つ空気がそうなのか? 私自身の記憶がそういうイメージを連想するのか? は定かではありませんが、ヨーロッパの匂いがしました。特に直子とレイコさんがいた施設で僕と三人で過ごす時間は、イタリアで知り合った日本人の友人のTさんと台所の小さなテーブルで、「紅茶のおいしい入れ方」であったり、他愛もないことをあきもせず語り合ったゆっくり静かな時間を思い出したりしました。イタリアの匂いと光をリアルに思い出すのです。Tさんは10歳位年上で音楽が大好きでザ・スミスをよく聴いていました。絵の話もいっぱいしました。

      直子の裸体が月の光に浮かび上がるシーンは、アンドリュー・ワイエスの絵をイメージでした。
      建物、木々、月、草原、裸体・・・ワイエスだ〜! ワイエスはアメリカ絵画だから、ヨーロッパっぽいというより外国っぽいのかなと思います。

      わたしはイタリア留学した時に、親から離れ、言葉や文化の違う所に行って、世俗から隔離された感じがした。まるで直子とレイコさんのいた施設のように。モラトリアムを雑音のない場所で、自分自身の本当の声に耳を澄まして過ごしました。「自分の本当にやりたい絵とはどんな絵なのか?」とかね。
      そう思うと施設は外国で、外の世界は日本となるのかな?

      レイコさんと僕が交わるラストがすきです。(直子との1回きりのもいいけどね。)
      それまでの僕のセックス(手や口も含め)はなんだか読んでいて居心地の悪いもので、ひどく小説の中で違和感がありました。「せっかくの美しい物語が台無しだよ。」と、途中で何度も思い、挫折しそうになりました。
      でもレイコさんとのがあって、ああっと、はじめて飲み込めた感じ。居心地の悪さも違和感も、青春の暗く、もどかしい、でも欲求はあるわけだし、愛と性のあり方をわからないままもがいている未熟な僕の心地そのもののような気がしました。それにこれがないと甘ったるいメルヘンになってしまってたかもと思います。
      重い荷物を持ったまま生きて行こうという覚悟が解放につながった気がしました。死という重い荷物を持つ事が出来なかった直子と僕の青春は終わった。直子は最後まで覚悟出来なったけれど・・・

      長くてまとまりがない感想ですみません。好きな所と嫌いな所を上げて最後にします。

      緑は感情もいらだちも漏れだすけど,わがままも奇行もあるけど、病気や死、経済的な事、しがらみと、文句を言いながら、ちゃんとつきあってる。直子も僕も、「やだやだ〜」「こうしたい!」というがない。自分を吐き出してしまった後の後始末したくないがために最初から出さない感じで、、常に逃げ場作ってる感じが好きじゃないです。一見大人に見える彼らより、緑の方が大人だよなと思いました。正直だし、でも色々責任もとってる。割とすきです。

      突撃隊が一番すきでした。いつの時代も夢に一途な人間は美しいです。どこ行っちゃったんでしょうね。寂しい。人とのつながりって、いつも一緒にいても突然切れて、糸口がなくなってしまう事があるんですよね。

      緑のお父さんと僕とのやり取りもよかったです。


      でも1つだけ、この主人公の僕は、東京か横浜か神戸出身者(もしくは外国帰りか)しか、もっていない遺伝子のようなものが組み込まれていて、そこがどうも「けっ、気取りやがって!」とやっかみなんだか・・・理屈じゃない(その人に罪はないからこの感覚ははた迷惑なだけなんだが)ひねた気分になってしまう。外国帰りの人がこちらがわからない単語を会話に混ぜて話したりすると、「ふんっ!なんだよ。日本語で言えよ。」という感じになるアレです。
      あの時代に割と飲めるワインって、なんだよ。どんな生活? 赤玉パンチしか知らないわたしには・・・受け入れがたい溝です。だから今後、村上春樹の小説をこれからまた読むかと言うと、あまり積極的な感じにはなれないかも知れないです。
      それにしても僕の周りの自殺率は高過ぎです。弱さは即、自死につながる。でもさ〜普通さ〜弱さは、身を持ち崩したり、麻薬とか、酒とか、犯罪とか、ただれたセックスとか、ニートとか、暴力とか・・・色々行き先はあると思うんだけど、そちらへは行けない育ちの良さが、自殺へつながるのですかね。

      まあ、これは私のお育ちの問題なんですかね〜。でも同じような条件だと思うのに松本隆の「微熱少年」という青春小説は素直に受け入れられたけど〜。やはりやりたい事があると強いですよね。
      こちらは廃盤になったのか?古本屋でしか売ってないと思います。かたや空前のベストセラー、かたや廃盤・・・笑。興味がありましたら、どうぞ読んでみて下さい。

      微熱少年 (新潮文庫)

      微熱少年 (新潮文庫)

      • 作者: 松本 隆
      • 出版社/メーカー: 新潮社
      • 発売日: 1988/11
      • メディア: 文庫


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